中村メイコさん89歳 エネルギーの源はスカッチ「オンザロック+水を毎日7、8杯」
中村メイコさん(89歳・女優/タレント)
まだ2歳だった1937年の映画「江戸っ子健ちゃん」でデビュー、美空ひばりをはじめ、数々の有名人と交流してきた芸能界きっての重鎮、中村メイコさん。今も明るいおしゃべりで笑いを届けているが、元気のもとは何かをうかがうと、中村メイコ流の生きるヒントが見えてきた。
私の場合、元気でいられるのは一にも二にも明るいこと、ネアカなことだと思います。諦念してもよさそうなことっていっぱいあったけど、暗くなることがなぜかなかったですね。
よくおいしいものを食べて元気になるとか言いますけど、私はおいしいものにはあまり興味がないんです。ご飯だってお子さま用の小さなお茶碗に軽く1杯、小鳥くらいしか食べない。満腹感はセリフ覚えが悪くなるし女優業には腹八分目か、もうちょっと少ないくらいがいいと思います。
私は2歳半からお仕事してましたでしょ。撮影が終わると、監督さんが「おいしいものを食べに行こう」と言ってくれるんですけど、私は「のんびりしたい」って言ってたの。スケジュールに追われていたので食べるより休みたかったのね。
その点、真逆だったのがひばりさんね。よく食べていましたよ。どうなっているんだろうというくらい。でも、よく考えたら、100曲近くをメドレーで歌ったりする時のエネルギーってそれなんだなと思いました。
その代わり私にとってのエネルギー源はお酒ですね。昔はブランデーが多かったけど、今はちょっとキツイのでスカッチにしています。それが私にとってはガソリンのようなものね(笑)。満タンはキツイけど、オンザロックにちょっとお水を入れ、毎日7、8杯は飲みます。
お酒の話をするとひばりさんとは一緒にいろんなところに飲みに行きました。ひばりさんは強盗に入るんじゃないかというくらい大きなマスクにサングラスをして出かけるんですよ。「そんなんで楽しい?」って聞いたこともありました。
親友だった江利チエミちゃんともよく出かけました。彼女の飲み方は異常な感じがしました。亡くなる前日も一緒に飲んで、「帰ったらすぐ寝なさいよ」と言ったのが最後になっちゃった。あの方も私と同じで明るいキャラクターと周りに思われていたけど、他人にはわからない悲しみや苦しみがいっぱいあったんでしょうね。
お酒は飲むけど、その代わり、女のくせに甘いものが全然ダメ。お菓子はきらいですね。
ひばりさんやチエミちゃんのほかにもいろんな方と飲みましたね。ユニークな方も多かったですよ。エノケンさん(榎本健一)や(古川)ロッパさん、(柳家)金語楼さん、森繁久弥さん、三木のり平さん……。森繁さんは地頭がよくて図書館オヤジ、何でも知っている方でした。人格者で勉強家でしたね。
これまで大病したことはありません。家のお付きの方にも「奥さまが具合が悪いっていうのを聞いたことがないです」って言われます。薬も飲んでいません。常備薬もありません。カゼをひいたらカゼ薬を飲むとか、ビオフェルミンとか、頭痛で仕事に差し支える時にバファリンとか。頭痛といってもたいていは二日酔いですけどね(笑)。
悩みもないですね。飼っている犬や猫が元気がない時にどうしたんだろうと心配するくらいかしら。今は猫が2匹、シジミとハッチがいます。猫はかわいい。猫じゃなくても、例えば、小鳥でもいいですけど、生き物がそばにいるのは人間にとって大事だと思う。気持ちが温かくなるし、安らぎます。
2匹とも白黒の猫です。ハッチは拾ってきて育てた猫で、「みなしごハッチ」から。シジミは大きくなったらハマグリにしてあげるねと言っていたけど、ずっとそのまんまです(笑)。2匹とも15歳くらいです。