追及のチャンスは過去に何度も…ジャニーズとメディアの関係はなぜこんなに歪んでしまったか
テレビ以上に芸能を扱うスポーツ紙は「密室での出来事に思いが至らなかった」(日刊スポーツ)と言い訳じみた記者の談話ぐらいで、ほぼ隠蔽に関してはスルー。まさにメディアの沈黙を象徴している。ジャニーズとメディアの関係はなぜ、こんなに歪んでしまったのか。
1980年代に元フォーリーブスの北公次らタレントが性被害を訴える本の出版がそもそもの始まり。北自身から話は聞いており、「事実」と確信していたが、ジャニーズという巨大な象に1匹の蜂が戦いを挑むようなもの。かすり傷程度で収拾してしまったが、北の告白は決して無駄ではなかった。
99年の週刊文春の追及キャンペーンにつながったと思う。1匹ではなく、何匹もの蜂が組んで相手の急所を突けば、かなわない相手ではない。被害者たちの告発である。
文春のメンバーとして連載数カ月前から取材を重ね、ある程度の手応えは感じていた一方で、一抹の不安もあった。蜂が攻撃しやすい後方支援がメディアの役割。全メディアが協力すれば蜂も縦横無尽に戦えるはずだったが、テレビも新聞も対岸の火事。報じるどころか、沈黙した。