宮川大助・花子が語る芸人の矜持と信念「生きていることの美学を描いた漫才をやりたい」
漫才師の宮川花子(69)が28日、名古屋の大須演芸場で「宮川大助・花子の『ただいま!』in名古屋」に出演した。花子は多発性骨髄腫に続き、右目横の腫瘍で放射線治療中。満身創痍の身ながら、夫・宮川大助(74)のサポートのもと一時退院して舞台に立った花子に芸人としての矜持と信念を聞いた。
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■一時退院して名古屋・大須演芸場に出演
──大須演芸場に出演するのは4年ぶりです。
花子「まだコロナの前で、大須は大助くんと会った場所やし、前のあのときは“いこか?”て」
大助「もう抗がん剤治療してたけど、担当マネジャーとデスクにしか言うてなくて(出演は)内緒やったんです」
花子「何が怖いてね、舞台袖にある階段が3段ありましてね、この3段が上がれなかったんです。今回は車いすでみんなが持ち上げてくれて舞台に立てました」
大助「1カ月半前までは自分でトイレもお風呂も1人で入ってたのに、このひと月の間で寝返りも打てなくなって。寝返り打つのに“大坊~”て呼ばれて、ゆうべは自分のトイレ含めて10回起きました」
花子「よー働いてくれますよ、ウチの介護男子。でもねー、アンタおらん(病気で休業した)時は、私1人で舞台立ってたのにな。私が休んだら一緒に休むねん(笑)」
大助「俺は“なにわ男子”になりたい言うてね。今までは夫婦漫才の延長に生活がありましたけど、あらためて芸人を離れて夫婦としての生活になりました」
花子「病院行くと、高齢者同士の介護がいっぱいいてね。ウチも同じやなと思います、高齢者夫婦です」
──自宅から2時間かけて大須へ。170席ほどのこぢんまりした劇場です。
花子「仕事があって幸せなことやと思います。農家の人が野菜を作るように、私には漫才というものがある、お客さんが待ち望んでいるなんてこんな幸せはないですね」
──まだ頑張ろうと思う原動力は?
花子「まだ頑張ろう、というより、がんばらなアカンねん。みんな待ってくれはるのに“もう無理です”言うたら怒られるわ!」
大助「副作用でしゃべりづらくなり、今、普段はしゃべれない状況なんです。昨日も頭もボーっとしてて。打ち合わせする体力ないから、ぶっつけ本番。おまえのやりたいことしゃべれ、俺はついてくから、言うてます」
花子「薬飲んでるからボーっとしてしゃべられへん。大助君も同じしゃべりやねん」
大助「両方ともボケやで。ツッコミいてませんねん」