東京15区補選を戦い終えた須藤元気さんに聞いた 格闘技、俳優、政治家としてのターニングポイント
映画ヒットで役者業が広がった。未経験でも勝負することは大事
──芸能界でのターニングポイントについてお聞かせください。
ひとつはこの映画出演。僕は役者にも興味ありましたから「引き寄せたな!」と思いましたね。もちろん経験はなかったですし、周りはプロの役者さんです。僕がいつも新たな挑戦をする時は「人と同じことをやらない」のが基本戦略。役者さんと同じアプローチで演じても僕の味は出ませんから。
現役の格闘家がキャスティングされたのはアクションが理由です。さらに「こんな動き、普通はやらないよね」と思える動きをあえてやったりしました。
映画がヒットしたおかげでその後も役者業は広がりました。未経験のことでも勝負することはとても大事ですね。
元々格闘家になって名を売ってきたのは政治家になるためでしたから、本当は25歳で格闘家を引退するつもりでした。しかし、K-1では重量級だけでなく、魔裟斗さん中心に中量級が人気になり、僕もそのK-1ブームに乗れたのが大きかったです。
総合格闘技ではホイラー・グレイシーに勝てたのも注目されましたし、格闘技がゴールデンタイムで放送されていた時代ですから、今振り返ると「運がよかったなあ」と思います。ケガも結構しましたし、今も後遺症がありますが、これはうまく付き合っていくしかないですね(笑)。
──06年に28歳で引退し09年にはパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」を結成。いろんな国でパフォーマンスをするという意外な展開も。
これも「自分はこうなるんだ」という可能性をイメージし続けることのひとつでした。周りからは「何バカなこと言ってるの?」「無理だよ」と言われても一切気にせず、イメージを信じて行動に移しました。するとうまく展開して。何でも行動に移さないと形にならないと思います。
──拓殖大学レスリング部の監督として最優秀監督賞を何回も受賞。大学院で政治を学び、19年に立憲民主党から初当選。現在はフリーです。
ようやく当初の目標だった政治家への道を歩み始めました。今回の著書では減税を主張してます。税金が上がっても賃金が上がらない現状は読者のみなさんにも関心事かと思いますが、僕はグローバル化路線がもたらした結果だと思うんです。人、物、金、サービスの移動が自由になり、グローバル企業や投資家の発言が強くなると政府も彼らがビジネスしやすいように改革していった。非正規労働者を増やす規制緩和もそうですし、消費税を上げて法人税を下げることも。今は非正規が4割、年収300万円以下の人がそれだけいる。それはやはりおかしいと。