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山田勝仁演劇ジャーナリスト

ひとつの時代の終わりを告げた唐十郎の逝去…演劇界の2024年を振り返る

公開日: 更新日:

 図らずも唐十郎追悼公演となった新宿梁山泊の「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」(作=唐十郎、演出=金守珍、左写真)は中村勘九郎寺島しのぶ豊川悦司、風間杜夫、六平直政ら斯界の大物俳優がテント芝居で共演するということで大きな話題となった。10月には赤坂サカスで唐十郎作の「ジャガーの眼」で赤坂初のテント公演を行った。その活躍から今年度の第59回紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞したのも当然か。

 7月7日に肺がんのために亡くなった少年王者舘の演出家・天野天街は映像や音楽、言葉遊びを駆使し、生と死の「間(あわい)」を飛翔するイメージの魔術師として唯一無二の「天野ワールド」を展開した。天野の不在は演劇界にとって大きな損失といえる。

 39年間、夏の風物詩として親しまれてきた椿組の新宿花園神社野外公演が今年で終了、中上健次作のスペクタクル活劇「かなかぬち」が最終公演となった。

 終わりといえば、劇団俳優座のホームグラウンドで、70年間、演劇界の殿堂として多くの劇団に利用されてきた六本木の俳優座劇場が来年4月で閉館。俳優座公演の最後となる「慟哭のリア」(11月)で劇団生え抜きの女優・岩崎加根子がリア王を女性として演じ、圧倒的な存在感を見せつけた。紀伊國屋演劇賞個人賞受賞が俳優座劇場への“恩返し”となった。

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