高石あかりはマルチな適応性を見せる女優 2025年後期NHK朝ドラ「ばけばけ」主演
彼女は、日本映画が伝統的な特色として持つウエットな(湿った)叙情性がよく似合う女優だ。その点では小松菜奈・岸井ゆきの・川栄李奈・杉咲花らに通じるものがある。一方で女子高生の殺し屋を演じた「ベイビーわるきゅーれ」のようなポップな役柄にもハマる。そうした女優としてのマルチな適応性から、彼女は多くの人に親しまれる朝ドラのような作品も、コアな層にだけ刺さる朝ドラからは一番遠い距離にある役柄も同じくらいによく似合う。
朝ドラ主演が決まる以前に高石あかりにインタビューしたことがあるが、洞察力がある知的な人だなと思った。そのときに彼女が語った「演じながら感じたのは、“人間には矛盾が多いな”ということです。そういう矛盾が人間らしくて、深さだと私は思っていますが、演技で矛盾を作り出すのは難しい」(タレントパワーランキングWeb.2023年8月1日配信)ということばが印象に残っている。彼女の出演作品を今まであまり見たことがない人も、この彼女の考え方を聞いただけで、どういうタイプの女優なのかが想像できると思う。
「御上先生」は、多くの人に彼女の魅力を知らせる名刺代わりの序章となった。女優・高石あかりが新章に突入する2025年秋が、本当に待ち遠しい。