「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃
■1999年2月
数多くのホームドラマで母親役を演じ、晩年は「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)で活躍していた女優の山岡久乃。98年に「渡鬼」から姿を消したことから、橋田寿賀子や石井ふく子の渡鬼ファミリーとの確執も伝えられたが、4カ月後には胆管がんによる心不全で亡くなった。
「渡鬼」が始まったのは90年。当初、主演は山岡だった。ところが、98年10月1日に始まった第4シリーズから突然、主演が次女役の泉ピン子に代わった。山岡は娘たちにプレゼントしてもらったニューヨーク旅行中に心筋梗塞を起こし、急死するという設定で遺影のみでの登場となった。視聴者からは「山岡が出ていなくて寂しい」「どうなってるんだ」といった投書が新聞社などに多数寄せられた。
これに対し、TBSは総胆管結石症の手術とその際に発見された肝機能障害のため、山岡側から降板要請があったという異例の降板説明会見を行った。説明では「山岡さん側から6月1日に送られてきた診断書を検討した結果、正式に出演は無理という判断に達しました。ああいう(急死の)形にしたことは山岡さんにも了解してもらっています」と説明した。