手術不能な膵がん患者 「5年生存率0%」からの治療最前線

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 手術不能な膵がんは、5年生存率0%といわれている。その状況をどう変えるか。膵がん治療の最前線を、名古屋大学病院消化器外科・藤井努准教授に聞いた。

■新薬で徹底的に叩く

 膵がんの多くは発見された時点で進行しており、手術可能な患者は2割程度だ。残り8割の患者を「5年生存率0%」という絶望的な状態から、「5年後の生存が望める」状態へいかに持っていけるか。これが膵がん専門医の課題になっている。

 藤井准教授が力を入れているのは、抗がん剤や放射線で積極的にがんを叩き、手術可能な状態へ持っていく方法だ。「がん治療では『普通に』行われているのでは」と思うかもしれないが、膵がんではそうではなかった。

「局所進行切除不能(手術不能)の場合、医師も患者も治らないと諦めて、軽めの抗がん剤を使うのが一般的でした。ところが、抗がん剤や放射線のやり方によっては、手術の可能性が出てくることがわかったのです」

 膵がんの抗がん剤は、2013年にフォルフィリノックス、14年にナブパクリタキセルと、新薬が承認された。副作用は軽いが効き目は弱い従来薬に対し、新薬は効き目も副作用も強い。効果と副作用のバランスを慎重にはかりながら新薬を使い、場合によっては放射線を組み合わせる。

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