池田陽子
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池田陽子薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

【マイタケ】胃の司令塔「脾」を強化して食欲を増進する

公開日: 更新日:

 健康でアクティブな日々を送るためには、なんといっても食事で栄養を補うことが重要。けれど、年を重ねると、食欲が低下しがちです。

 加齢に伴う消化器の機能低下は、食欲不振を引き起こします。胃腸の働きが弱り、消化吸収能力が衰えることで消化不良になったり、腸の機能が低下して便秘になると食欲が湧かなくなるのです。

 外出の機会が減って運動量が少なくなったり、筋力や基礎代謝が低下することも食欲不振の原因になります。また、唾液量の減少や咀嚼(そしゃく)力が落ちると、そもそも食べることが苦になってしまうケースもあります。さらに、ひとり暮らしで食事の楽しみがなくなる、買い物や調理がおっくうといった心理的要因が加わると、いよいよ食欲がなくなっていきます。

 低栄養はシニアにとって大問題です。病気の原因になるのもさることながら、筋肉量・筋力の減少により転倒、骨折しやすくなったり、認知症のリスクも高めます。食べて健康以前に、食欲維持は健康長寿の要。薬膳で対策を講じましょう。

 中医学では、食欲不振は消化器官をつかさどる臓器「脾(ひ)」の働きの低下からくるものと考えます。脾と胃は密接な関係があり、食べたものは脾と胃の相互作用によって消化吸収が行われます。脾は、胃に指令を出して消化させた飲食物を栄養物質として全身に運ぶ働きを担います。いわば、脾は「胃の司令塔」なのです。

 脾が弱ってしまうと指令もストップするため、食欲がなくなり、食べてもすぐお腹がいっぱいになる、または胃もたれといった症状が表れるのです。食べ物の味がしないなど味覚異常が起きるケースもあります。

 脾の働きを強めるために良いのはキノコ類。速やかに脾を力づけるとともに、人間のエネルギー源である「気」を補い、パワーアップに威力を発揮します。とくにおすすめなのが「マイタケ」です。キノコ類の中でも最も気を補う力が高いのです。さらに、脾だけでなく全身の臓器の働きを高める作用があり、滋養強壮、体力増進には取り入れたい食材。免疫力をアップする効果もあり、高血圧糖尿病の改善にも役立ちます。しかもマイタケは、調理の際に包丁が不要! ぜひ、積極的に取り入れてみましょう。

 脾の働きを強めるために、マイタケと組み合わせたいのは豆類、芋類、鶏肉です。いずれも薬膳において、脾を補う効果が高いとされています。また、食欲増進作用のある青じそと梅干しもプラスして調理するといいでしょう。

■マイタケ高齢薬膳レシピ

マイタケと鶏肉の梅しそ風味

 脾の働きを強めて食欲不振の解消に役立つ、マイタケ、鶏肉、枝豆を組み合わせたレシピ。鶏肉はコンビニで販売されているサラダチキンを使い、レンジで手軽に作れます。食欲増進に良い青じそと梅干しの風味がさわやかで、食が進む味わいです。

【材料】2人分

●サラダチキン(100グラム) 1パック
●マイタケ 1パック
●枝豆 20粒
●青じそ 8枚
●塩昆布 大さじ1
●梅干し 1個
●酒・みりん 各大さじ1

【作り方】 

 耐熱皿にほぐしたサラダチキンとマイタケを入れ、種を取って叩いた梅干し、塩昆布、酒、みりんを加えて全体を混ぜ合わせる。ラップをかけて3分加熱して器に盛り、枝豆、千切りにした青じそをちらす。

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