自宅看取りは「在宅診療」と「介護」でこう変わった 家族の大きな負担は過去の常識
在宅診療なら患者の変化に応じて、医師やケアマネジャーが連携して病状に対する介護環境の説明、看取りまでの病状の変化やその心構えについて、丁寧に説明をしてくれる。当然、家族が最期を看取れる確率は高まる。
「ただし、病状急変時の医療は心配という声は聞こえてきます。しかし、真面目に24時間365日の在宅診療をやっている診療所だと、30分から1時間以内にはどの時間でもご自宅に伺い、専門的な医療を提供できます。病院だと、日頃の状態がわからない夜間のバイト医師に不必要な検査や不適切な処置をされる可能性もある。在宅診療では疾患にかかわらず、最期の時まで穏やかな表情をつくることが医師の仕事であり、家族に負担を感じさせないのがケアマネの仕事であって、それをヘルパーや看護師がサポートして患者さんや家族の方の日常生活を支えるということです。だからこそ家族は“愛情”をしっかり注ぐことが心穏やかにできるのです」
しかし、看取りに至るまでの患者の食事やトイレ、入浴の世話が不安という人は多い。
「すべてがラクだとはいいません。それでも、愛する家族のために、トイレや食事の介助、夜間のサポートもしたい、そういう思いが原点にある人は少なくありません。夜の不眠や不穏で家族が起こされるのが大変だと考えて、睡眠薬や安定剤を処方しようとしても、『私が赤ん坊の時に、親はこうやって面倒見てくれたのかなと思うんです』と語る家族の方もおられるのです。その一方で、愛情と日常に挟まれて耐えられないストレスになることもあります」