著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

7年前に大腸がんの手術を受けた男性が、熱中症の疑いで来院したが…

公開日: 更新日:

 奥さんのお話です。

「毎日、異常に暑くて、『行くな』と言っているのに、野球を見に行くのです。今日も暑くて熱中症が心配でした。水分補給が大切と思い、仕方なしに冷たいコーラを持たせました。また、いつでも自動販売機で清涼飲料水を買って飲めるように小銭を持たせました。夫はコーラが好きで、毎日飲んでいます」

■水分ではなく糖分の補給になっていた

 診察では、皮膚は乾燥していましたが、上下肢や眼球運動など神経学的には問題はないようでした。それでも、至急、採血検査をして輸液をしながら頭部のCT検査を行い、結果を待ちました。 頭部CT検査では、特に梗塞や出血などの異常はありませんでした。ところが、血糖値が450㎎/デシリットルと異常な高値だったのです。Oさんがもうろうとしていた原因はここにありました。

 奥さんは「水分は十分補給していると思います」とのことでしたが、よく聞いてみると、なんと喉が渇いて糖分の入った清涼飲料水をたくさん飲んでいたのです。水分補給と言っていますが、その清涼飲料水にはたくさんの砂糖が含まれていたため血糖値が上昇し、さらに水分が欲しくなるという悪循環になっていました。つまり、水分の補給というよりも、清涼飲料水による糖分の補給になってしまい、糖尿病を悪化させていたのです。Oさんには、糖分の入っていない水分の補給が必要だったのです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八角理事長が明かした3大関のそれぞれの課題とは? 豊昇龍3敗目で今場所の綱とりほぼ絶望的

  2. 2

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  3. 3

    元DeNAバウアーやらかし炎上した不謹慎投稿の中身…たびたびの“舌禍”で日米ともにソッポ?

  4. 4

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋

  2. 7

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  3. 8

    菊間千乃は元女子アナ勝ち組No.1! フジテレビ退社→弁護士→4社で社外取締役の波瀾万丈

  4. 9

    中居正広「引退」で再注目…フジテレビ発アイドルグループ元メンバーが告発した大物芸能人から《性被害》の投稿の真偽

  5. 10

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も