著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

藤子不二雄Aさんは術後7カ月で…大腸がんと腸閉塞の予防の盲点

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 中高年なら、藤子不二雄さんの作品は人生のどこかで通る道でしょう。私も、「笑ゥせぇるすまん」をはじめファンでしたから、藤子不二雄(A)さん(享年88)が亡くなったことは残念です。

 訃報にふれ、生前の生活ぶりが報じられています。それによると、2013年になじみの医師の勧めでPET検査を受けたところ、大腸の右側の上行結腸に影が見つかり、腹腔鏡手術で切除。がんの大きさは2センチで、転移はなし。自覚症状がなくてショックだったそうですが、早期だったからこそ、がんが悪さをすることなく、それから9年、天寿を全うできたのだと思います。

 大腸がんも胃がんも、早期ならほぼ100%近く治りますから、早期発見を心掛け、がん検診や健康診断を毎年しっかりと受診することです。(A)さんのように「たまたま」を期待するのはよくありません。

 大腸がんの場合、早期切除した後の注意点は、腸閉塞です。(A)さんも経験しました。手術から7カ月後です。「そんなに経ってから」と思うかもしれませんが、術後の合併症としての腸閉塞は、術後半年から2年くらいが要注意。中には術後10年で生じるケースもあるのです。

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