がん手術後から両足がむくむ…何か病気があるのでしょうか?
足がむくむ病気のひとつに「リンパ浮腫」があります。はっきりとした原因が分からない原発性リンパ浮腫と、がんの治療後に起こる続発性リンパ浮腫に分けられ、後者の場合、がんの手術でリンパ節を取り除いたり、抗がん剤や放射線治療によってリンパの流れが停滞することで発症します。足に生じた続発性リンパ浮腫では子宮がんや卵巣がんが原因となることが多く、そのため患者さんは女性に多いのが特徴です。
70代の女性は子宮がんの手術を受けた3年後から、両足のむくみが気になるようになったといいます。主治医に相談すると軽度なため特に治療の必要はなく、しばらく様子を見るよう伝えられたそうです。ただ、月日が経つにつれてむくみが悪化して足の重だるさや張りを感じるようになり友人に相談したところ、リンパ浮腫ではないかと指摘され当院を受診されました。
リンパ浮腫はがんの手術直後からむくみが生じる人がいる一方で、手術から10年以上経過した後に発症するケースもよく見られます。近年はがんの手術を行う際、「後遺症としてリンパ浮腫が起こるリスクがある」と患者さんに事前に伝えているので、むくみがひどくなる前に受診される方も増えています。しかし、30年ほど前まではリンパ浮腫は放置しても命にかかわる病気ではないとの認識が医師の間でも広がっていたため、治療を受けずに20年以上もむくみをそのままにしている患者さんも少なくありません。