がん手術後から両足がむくむ…何か病気があるのでしょうか?
とりわけ足は腕と異なり、衣服で隠れやすく目につきにくい。むくみが軽度であれば気づくのが遅れ、ある日突然、蜂窩織炎を起こして病院に救急搬送される方も少なくありません。蜂窩織炎を起こしやすい方に対しては、リンパ管と静脈をつなぎ、リンパの流れを改善させる顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術(LVA)と呼ばれる手術を行うこともあります。
リンパ浮腫の標準的な治療は、用手的リンパドレナージと呼ばれる皮膚のマッサージで貯留したリンパ液を流し、たまるリンパ液の量を減らすために弾性ストッキングの着用を行います。圧迫治療と並行してウオーキングやエアロバイクを用いた運動療法を行うと、むくみが改善されると報告されているため、リンパ浮腫のスタンダードな治療法として世界中で行われています。
次回はリンパ浮腫の方に有効な弾性ストッキングについてお話しします。
▽松原忍(まつばら・しのぶ)順天堂大学再生医学講座 形成外科。琉球大学卒業後、同大学胸部心臓血管外科教室へ入局。末梢血管疾患の診療に携わった後、横浜市立大学形成外科でリンパ浮腫に対する手術法を学ぶ。2020年から順天堂医院足の疾患センターでリンパ浮腫診療を開始。24年4月から現職。