中国セレブ子女向け「日本の大学受験予備校」活況 なぜ新たなインバウンドビジネスに成長?
東京・新大久保、高田馬場駅周辺に中国語の看板が急増しているのはご存じか。しかもこの看板、ほとんどが「中国人向け大学受験予備校」だと知る人は少ない。
中国人留学生といえば、以前は語学学校に籍だけ置く外貨稼ぎの“出稼ぎ労働者”のイメージが強かった。ところが「新大久保や高田馬場のコンビニや飲食店で働いているのはベトナム人やネパール人がほとんど。いま来日する中国人留学生は富裕層の子女ばかりです」(中国人ジャーナリストの周来友氏)という。彼らは日本の有名大進学のために予備校に通うのだ。
そんな新興予備校のひとつ「啓陽塾」に通う周思辰さん(18)は昨年、中国の高校を卒業して来日。「将来は日本のテレビ局に入社したいと思い、メディア専攻の学部を目指しています。テレビ局に勤める父の仕事を見て憧れ、日本の自由でクリエイティブな環境で働きたいと思っています」と流ちょうな日本語で語る。日常会話は完璧。外国人らしいイントネーションの癖もなく、外見も日本のティーンと変わらない。
「高校では3年間、日本語を勉強しましたが、まだまだです。昼間は語学学校に通い、夕方からは受験に向けて予備校に通っています」と謙虚に語る。自宅は蘇州市内の戸建てに両親と住む一人娘。中国の都心部ではマンション住まいが普通、都心から離れた戸建てに住んでいることはセレブの証でもある。
同校ディレクターの譚さん(25)によると「留学生にとって一番の壁は面接、次いで日本のセンター試験的な位置づけの日本留学試験(EJU)の成績です。面接では志望動機など、かなり突っ込んだことも聞かれますし、EJUでは文系の学生でも数学の点数が問われるので、予備校が必要。また日本の大学のオープンキャンパスなど実際に足を運ぶなどリアルな情報収集もできる。今はリモートです」という。