梼原町立図書館(別名:雲の上の図書館/高知県高岡郡)杉の香りただよう「森の中の読書空間」
梼原町立図書館(別名:雲の上の図書館/高知県高岡郡)
入り口で靴を脱ぎ、素足のままフローリングの床を進んでいくと、さわやかな杉の香りに包まれる。いたるところに梼原産の木材がふんだんに使われていて、さしずめ「森の中の読書空間」といったあんばい。新国立競技場の設計者としても知られる建築家・隈研吾氏が設計した梼原町立図書館、別名「雲の上の図書館」のことだ。
「スリッパの用意もありますけど、裸足で木のぬくもりを感じ、館内でリラックスして過ごしてもらいたいという隈さんの思いが込められています」とは係長の見目佳寿子さん。
梼原町は四国は高知の北、愛媛との県境に位置する高原にある。面積の9割以上が森林で、最大標高は1455メートル。雲の上の図書館は6年前にオープン、令和5年度は開館以来最多となる年間約13万人が来館した。そのうち約4割は観光客だったという。高知龍馬空港から車で1時間半以上かかるにもかかわらず、これだけの人々が来館したのだからオドロキだ。
「建物は鉄骨造と一部木造で、杉の木は100%梼原のもの。天井から木材が伸びているのが特徴で、デザインとして、梁の役目として、計算されて造られています。館内の大きな階段は、梼原の棚田の風景をイメージしたものです」(見目さん)