築地場外市場“再開発”は新たな「負のレガシー」か…現地に漂うシラけムード
■「豊洲にスタジアムをつくればいい」
「豊洲への移転の時もそうだったけど、俺ら下々のモンがいくら『反対』だって言ってたって、やるんだから。巨大な利権が動いてるんでしょ? ハナから俺らなんて眼中に入ってねぇの。(築地市場時代は)銀座や新橋からふらっと自転車で来られたのに、豊洲は遠すぎてダメ。買い付けに来る人が減ったから、豊洲市場は閑古鳥が鳴いてるってな。築地に市場を戻して豊洲にスタジアムでも何でもつくればいいんじゃねぇの? 『築地は守る』なんてしょせん口約束だから、(知事は)守る気なんてないだろうよ」
都の「築地地区まちづくり事業」の方針には、▼水辺の東京を象徴する景観を創出▼水や緑、歴史を生かし、東京らしい魅力で世界の人々を迎え入れる▼多様な交流の中で新しい文化を創る開かれた舞台とする--と、どっかで聞いたことがあるテーマが並ぶ。スタジアムといい、空飛ぶクルマといい、新国立競技場と大阪万博でお腹いっぱいだ。
都は今後、事業計画をブラッシュアップすると説明しているが、今年度中には事業者と基本協定を締結する予定。築地は守られるどころか、拙速な再開発の犠牲になりかねない。 =おわり
(高月太樹/日刊ゲンダイ)