兵庫県議会は斎藤元彦知事への不信任案提出…パワハラ男の「心の闇」を精神科医が分析
パワハラ問題やおねだり疑惑で追い詰められた兵庫県の斎藤元彦知事は、議会初日の19日に不信任案を提出され、全会一致で可決される見通しだ。可決となると、知事は10日以内に議会を解散するか、失職するか。究極の2択を迫られるが、解散権をチラつかせる発言を繰り返していて、失職する気はないのだろう。県民からも「恥さらし」と罵倒され、四面楚歌状態になりながら、なぜ知事のポストにこだわり続けるのか。
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県議会4会派と無所属議員4人から即時辞職を求められた12日、斎藤知事は「これから9月議会が始まるので、県民生活を支えるために補正予算を提出していきたい。具体的には、家計応援キャンペーンということで、プレミアム付き商品券的なものを予定しています。100億円の補正予算を提出させていただこうと思います」と、補正予算を盾に辞職要求をかわす発言をしている。
それを受けて記者から不信任案について問われると、「不信任決議案が提出、可決されれば私としては法律にのっとってさまざまな選択肢があるので、それをしっかり考えていく」と今度は解散をチラつかせて議会にゆさぶりを図った。
4会派などの辞職要求に先立ち、維新はすでに辞職を求めていて、県議会の全86人が「辞めろ」コールを突きつけたことになる。12日の会見ではこう断言した。
「来年7月までの任期をまっとうしたい」
■こじらせた自己愛で自分を過大評価
斎藤知事誕生の原動力となった自民や維新にも引導を渡され、全面的に集中砲火を浴びてなお、知事にこだわり続ける。
与党にさえ反対されるのは異例中の異例だが、それでも何食わぬ顔で知事のポストを守ろうとするのは、かなりずぶとい神経といえる。
精神科医で明陵クリニック院長の吉竹弘行氏は「あくまでも一般論ですが」と断った上で、こう分析する。
「幼少期からの成長過程で適切な環境で育つと、自尊心や自己肯定感が健全に発達し、自分を愛すると同時に周りにも愛情を向けられるようになります。それが精神医学用語の『自己愛』です。一般の人はこの言葉からナルシシストを思い浮かべるかもしれませんが、他者への愛も含んでいます。ところが、過度に甘やかされたり、逆に極端に厳しく育てられたりすると、自己愛が歪められることがあります。そうすると、自分に対して過大評価や誇大感を抱くようになる一方、自尊心はとても脆弱であるがゆえに周りからの称賛を強く求めたり、他者への共感が極めてとぼしくなったりするのです。このような症状を見せる疾患を自己愛性パーソナリティー障害といって、社会生活を送る上ではパワハラなどでよくトラブルを起こしやすいし、ポストに執着しやすい」
斎藤知事がそうであるということではなく、あくまでも一般論だが、吉竹氏の説明に斎藤知事の言動が重なる部分はあるような気がする。