著者のコラム一覧
髙橋裕樹弁護士

「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。アトム市川船橋法律事務所。

「示談交渉」を弁護士以外がやってはいけない理由…資格のない行政書士が行って逮捕

公開日: 更新日:

 今月9日、弁護士資格がないのに示談交渉を行ったとして弁護士法違反の容疑で、行政書士が逮捕されました。被疑者は、容疑を否認しているとのことです。

 弁護士資格のない者が、示談交渉をしてはいけないの? ちょっとした交通事故や近隣トラブルの示談ならいいのでは?──そう思う方もおいででしょうが、結論から言うと、弁護士以外の者が報酬を受け取って、法律事務を行うことは基本的に禁止されています。

 なぜかといえば、法律の知識が疎かったり身元がハッキリしない者が法律事務を行うことが許されれば、自身の利益のためだけに、中途半端に法律事務を行う者が横行し、法的に意味のない契約書や合意書などが大量に発生したり、時には不当・不正な交渉などが行われ、当事者やその他の関係人の利益が害されることはもちろん、法律によって秩序を保っている社会に混乱が生じる可能性があるからです。

 では、逆になぜ弁護士であれば許されているのか。それは、単に弁護士が司法試験に合格し、法律に詳しいから許されているわけではありません。弁護士は、その業務を行うに際してさまざまな制約を守る必要があり、弁護士会や日弁連という組織に個人情報を提供しており、その身元がハッキリとしています。そして、弁護士が不正な行為を行ったり、制約を破った場合には、業務停止や資格剥奪などの処分が下る場合もあり、弁護士を監督する機関のようなものがあります。こういったシステムの中で、不正なことを行わずに業務を遂行することが期待できるため、弁護士には一切の法律業務を行うことが許されているのです。

 今回の行政書士についても、法律文書の作成はともかく、当事者間に入って交渉を行うのが許されていないのは、そういう理由からです。

 弁護士以外に頼んだ方が値段は安いかもしれませんが、頼んだことで事態がより悪化することになるので気をつけてください。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  2. 2

    ニデック永守重信会長の堪忍袋の緒が切れる? 「売上高4兆円」達成に不可欠な牧野フライスの買収が難航中

  3. 3

    巨人・田中将大の早期二軍落ちに現実味…DeNA二軍の「マー君攻略法」にさえなす術なし

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    茨城県知事の異常な県政を朝日も毎日も報じない不思議…職員13人が自殺?重大事件じゃないか!

  1. 6

    立憲民主党の凋落は自民党以上に深刻…参院選改選組が国民民主党に露骨なスリ寄り

  2. 7

    小芝風花&松坂桃李は勝ち組、清野菜名は貧乏クジ…今期ドラマ「トップコート」所属俳優の泣き笑い

  3. 8

    阿部寛「滑舌問題」はクリアできそうだが…新日曜劇場『キャスター』で国民的俳優が試される“唯一の心配事”

  4. 9

    浜田雅功の休養の裏で着々と進む松本人志との"今夏ダウンダウン完全復帰計画"…プラットフォームに本腰

  5. 10

    誰トク?広がる地方私大の公立化…見送られた千葉科学大は「加計学園」が運営撤退も大学存続