東大は約11万円の授業料値上げ…国立と私立の学費格差是正をめぐる"暗闘"の結末

公開日: 更新日:

 東京大学のある研究者が、マイナビが継続して実施している『大学生のライフスタイル調査』のデータを利用して、「あなたが大学教育を受けた結果、大学教育の価値は何円の価値があると思いますか。年間授業料を基準にして、それより価値が高いか低いか」という設問の結果をまとめている。直近の2023年分の調査結果では、「大学教育は年間授業料より価値が低い」と答えた人の割合は、国立大生が文系23.8%、理系26.4%なのに対し、私立大生は、文系41.5%、理系41.1%となっている。私立大生のほうが大学教育のコスパが低いとみているのである。

 この差は国立大の授業料を上げれば、確かに縮小するだろう。現実に国立大生の家庭における所得高位層の割合は36.7%で私立大生の32.6%を上回っている。東京大学クラスの合格者は名門私立高校出身者が多く、最近では経済力に余裕のある家庭からの東大生が目立つようだ。

 それだけに今、国立大へのさらなる公的財政支援の強化は本当に必要なのか、という疑問も生まれている。国は国立大学運営費等交付金をここ20年削減しているのに、トップクラスの国立大には「国際的に評価される研究水準までレベルアップせよ、地方国立大には地域振興のリーダーシップをとれ」とプレッシャーをかけている。この期待に応えるためには、国立大でも教育研究費の増額は必要となっている。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    大阪・関西万博“裏の見どころ”を公開!要注意の「激ヤバスポット」5選

  2. 2

    大阪万博メディアデー参加で分かった…目立つ未完成パビリオン、職人は「えらいこっちゃ」と大慌て

  3. 3

    大阪万博ハプニング相次ぎ波乱の幕開け…帰宅困難者14万人の阿鼻叫喚、「並ばない」は看板倒れに

  4. 4

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 5

    「2025年7月」に大災難…本当にやってくる? “予言漫画”が80万部突破の大ベストセラーになったわけ

  1. 6

    兵庫県職員新規採用「辞退率46%」の異常事態…知事のパワハラ疑惑が原因なのか?昨年は25.5%

  2. 7

    (4)多くの農家が潰れるから企業参入促進というおかしさ 間違った「議論の前提」が稲作を崩壊させる

  3. 8

    昭恵夫人に一私人らしからぬカネと力が… 安倍元首相の政治資金「2億4000万円」を“抜け道相続”していた

  4. 9

    「世界大学ランキング日本版」5回連続首位・東北大学の海外留学生重視と一般入試を止める日

  5. 10

    「すき家」はネズミ混入ショックで一時閉店も…“牛丼離れ”できない庶民生活のリアル

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    元フジ中野美奈子アナがテレビ出演で話題…"中居熱愛"イメージ払拭と政界進出の可能性

  4. 4

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  5. 5

    芸能界を去った中居正広氏と同じく白髪姿の小沢一敬…女性タレントが明かした近況

  1. 6

    中居正広氏と結託していた「B氏」の生態…チョコプラ松尾駿がものまねしていたコント動画が物議

  2. 7

    中居正広氏、石橋貴明に続く“セクハラ常習者”は戦々恐々 フジテレビ問題が日本版#MeToo運動へ

  3. 8

    中居正広氏が女子アナを狙い撃ちしたコンプレックスの深淵…ハイスペでなければ満たされない歪んだ欲望

  4. 9

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も

  5. 10

    SixTONES松村北斗 周回遅れデビューで花開いた「元崖っぷちアイドルの可能性」