太閤秀吉ゆかりの寺が窃盗被害に…「罪はとがめないので瓢箪を返して…」副住職が思いの丈を吐露
名古屋市中村区にある太閤山常泉寺──。
遡ること400年前、豊臣秀吉の命により、加藤清正並びに開山である円住院日誦上人が創建した常泉寺は、古くから秀吉ゆかりの寺として多くの参拝客が訪れている。
秀吉の生誕跡地に建てられた寺の境内には、生誕時に産湯を浴びた井戸が存在し、堂内には息子の秀頼から譲渡された「豊太閤像」がご本尊として祭られている。そんな、秀吉ゆかりの寺のシンボル的存在だった「金色の瓢箪」が窃盗被害に見舞われてしまった。矢島昭輝副住職が被害時の様子を説明する。
「被害に遭った瓢箪は秀吉公が馬印としていた千成瓢箪をかたどったもので、境内に設置された台座の上に固定されていました。窃盗被害に気づいたのは今月11日。日課である境内を掃除している時でした」
「金色の瓢箪」は、今から約40年前に常泉寺と同じ中村区に本社を置く包装用フィルムメーカー「フタムラ化学」の創業者から「お寺の再建立時に寄贈されたものです」と矢島副住職が続ける。
「今から約40年前に寺が放火に遭い全焼したんです。そんな時に再建立の寄進を申し出てくれたのがフタムラ化学の創業者の方でした。創業者は若い頃から秀吉公に倣うかのように、“立身出世”を志し、一代で会社を起こした方。いつかは秀吉公に恩返しをしたいと思っていた時に、放火のことを報道で知り、再建立に力を貸していただいたんです。その再建費の一部として設置してくださったのが、今回被害に遭った金色の瓢箪なのです」