恨み続けるか、憎しみを手放せるか…「ゆるせない人リスト」を作って見えてくること【前編】
自分の身体がゆるせない場合も
・自分の身体
あなたは自分の身体に完全に満足していますか。それとも、見かけや自分の身体について何か不満がありますか。
遺伝の問題や、病気やケガが原因の悩みがありますか。
重病を患っていますか。
身体のせいでしたいことができないことがありますか。
老化現象に手をこまねいていると、怒りを感じますか。
少しでも当てはまれば、簡潔に書いてみましょう。
◼️どんなことでもいいから書いてみる
・過去と現在の思考、感情、行動
みんな自分を裁いています。本当は自分でも変えたいパターンを変えられず、ゆるせないと思っているかもしれません。
ずっと昔、人を傷つけたり苦しませたりしたかもしれません。友だちや家族とのいい関係を願って、時間やエネルギーをかけているのに、いっこうによくならないと感じているかもしれません。
仕事の腕が思うようにあがらない、目標がなかなか達成できないと感じているかもしれません。
あるいは、他人にもっと寛大であるべきだとか、何かいざこざがあったとき、すぐに裁かないでゆるすべきだと感じているかもしれません。
どんなことでもいいですから、簡単に書いてみましょう。
・神、運命、高次元の存在、人生
何もかもが裏目に出ると感じるときもあるのです。
「ツキから見放されている」
「運命だからしかたがない」
「もしも神がいるなら、なぜこんなことが起きるのか」
「星回りが悪いんだよ」
などという言葉を、よく耳にします。大いなる力がはたらいていて、どうにもならないと感じることがあるのは確かです。
当てはまることは何でも書いてみましょう。
■自分は何もしていないのにふりかかった災難も
・事故、犯罪、迷惑行為
自分は何もしていないのに災難がふりかかることがあります。交通事故、赤の他人に侮辱される、強盗に貴重品や大切な思い出の品を盗まれる──。
こういうこともゆるしがたいでしょう。さあ、リストに入れてみましょう。
◼️リストを作るときの心の動き
ゆるすために、ゆるせないと思っている人のリストを完成させるのですから、さまざまな思いや疑問が浮かぶでしょう。たとえばこんなふうに。
・彼をゆるすのが怖い。彼をゆるしたら、彼がやったこともゆるすことになるのでは? ゆるすということは、彼のふるまいに同意するのと同じでは?
・傷つけられたせいで、私の心には有刺鉄線が張りめぐらされている。私の心は石のようになってしまった。彼について考えるたびに、私はかたくなになる。この思いは、絶対に変えられない。
・仕返しをしたいという気持ちと、全部忘れてしまいたいという気持ちのはざまで、心が揺れ動く。
・なぜあんなことをしてしまったのか。自分を絶対にゆるせない。私は幸せになる価値のない人間だ。
・憎しみを手放したいのはやまやまだけど、ゆるしたら、また傷つけられそうだ…。
・恨みを手放せば幸せになるのはわかってる。でも、どうしたらゆるせるのか想像もつかない。
リストを作ろうとすると、こういう疑問や思いが浮かんできます。これらの疑問には、簡単な答えはありません。ゆるすとはどういうことか、みなさんがじっくりと考えるきっかけとして、まずはリストを作っていただきました。恨みつらみを手放すと、どういうマイナスがあり、どういうプラスがあるのか。実践すれば、すぐにわかります。
ゆるしがあなたに何をもたらすか、このリストが力になってくれるでしょう。
【後編】はゆるしによって過去を手放した例を見ていきましょう!
▼ジェラルド・G・ジャンポルスキー スタンフォード大学医学部卒。国際的に有名な精神医学者。1975年に「生き方を変えるヒーリング・センター」(Center for Attitudinal Healing)を設立、現在では世界30か国以上に広がっている。代表作『愛とは、怖れを手ばなすこと』(サンマーク出版)は全米で100万部突破、ほかに『やすらぎ療法』(春秋社)など著書多数。作家、セラピストである妻のダイアン・シリンシオーネとともに世界40か国以上で講演活動などをおこなった。2020年没。