令和に懸念される「東大生」のブランドイメージ…彼らは尊敬される存在なのか?
しかし、本当に東大生が、尊敬に値する存在なのか。「小粒化」しているという声もある。東大の濱田純一元学長は、ある対談で、「2010年当時、大きな課題になっていたのは、しばしば『学生が点数主義に陥っていたこと』『学生の授業態度が受け身であったこと』『学生の視野が狭いこと』の3点でした」と指摘している。
1970年代の学生運動で脚光を浴びた東大全共闘が、自己のエリート性を「自己否定」したのとは対照的である。当時は全国の地方公立高校出身の東大生も多く、いろいろな社会階層の同級生と接した経験があったからであろう。近年は中高一貫の私立進学校や国立の高校の出身者が増え、同じような生活環境で育った彼らが学内で、出身校別にグループ化しているのが、昨今の東大キャンパスだという声もある。
2020年度に実施された「東京大学におけるダイバーシティに関する意識と実態調査」報告書の自由記述欄に、東大女子の次のような記述があった。
《男子校出身の男子生徒による性差別・性暴力が特に悪質でひどいように感じます。本当に本当 に男子校出身の生徒たちの暴言に沢山の同期が傷つけられています。助けてください。私もサークルで恋愛関係について深掘りされたり、性生活についてしつこく聞かれて嫌だからやめろと言うのに、向こうは男子校時代は下ネタがコミュニケーションで一番大事だった、今も男子校のようなものだから俺たちのルールに従えと言い、下ネタを投げかけてくることを一切やめませんでした。 私はそのサークルをやめました。 また、友達で同じクラスの男子にしつこく関係を迫られて嫌がっている人もいますし、ジェンダーについて真剣に勉強しているのに「ジェンダーとかきっしょ wwwww」と男子校出身の人たちに侮辱されて泣いていた友達もいます。何より恐ろしいのは、この状況に多くの人が気づいていないことだと思います。傍観者がいじめや差別をつくるといいますが、このケースではもっと悪質なことに、気づいていないひとたちの存在が状況を悪化させているため改善が難しいのではないでしょうか》(原文ママ)。