地球の歩き方 新井邦弘社長(4)手描きの地図1枚を頼りにイラン入り
海外放浪にすっかりハマった新井は、次にはヨーロッパに行く。
「古代ギリシャ史を専攻していたので、卒論を書く前に絶対ギリシャに行きたいと思ったのです」
いまや大手総合旅行会社となったエイチ・アイ・エスも、当時は格安航空券の販売がメインのベンチャーで、店に訪れる客はバックパッカーばかりだった。
「ヨーロッパに行く一番安い航空券ということで、彼らに教えてもらったのが、パキスタン航空でした」
新井はそこで、1年間のオープンチケットを入手した。
ヨーロッパのほぼ全土を回った。
当時のドイツは東西に分かれて、ベルリンは壁で仕切られていた。
クロアチアやセルビアなどで構成するユーゴスラビア社会主義連邦共和国も存在していた時代だ。
新井はモロッコなど北アフリカにも足を延ばした後、ローマ遺跡の宝庫であるトルコに1カ月以上滞在した。
東西の交差点でもあるイスタンブールの安宿は、アジアからヨーロッパに向かうバックパッカーたちとの情報交換の場でもあった。