著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

日本一売れるジープ ラングラーが6年ぶりマイチェンで“高いけど安くなった”ナゼ

公開日: 更新日:

ジープ ラングラー(車両価格:¥7,990,000/税込み~)

 ラングラーもついにプチデジタル化? 日本で一番売れるジープたる本格クロカン4WD、ラングラーが約6年ぶりにマイチェンしたので乗ってみた。

 一番分かりやすい変更点はインフォテイメント、つまりナビ系の進化で遂に全車12.3インチの横長タッチディスプレイを搭載。ただし、ラングラーの名誉のために言っておくと、センターディスプレイは最初から選べたし、内蔵アプリも元々アイフォンやアンドロイド対応のUコネクトを搭載していた。

 今回は画面が最大8.4インチからイマドキ12.3インチに拡大し、Uコネクトも最新第5世代へとアップデートしたのだ。確かにアイコンは見易く、ブルートゥースで簡単にカープレイ接続ができるので使いやすい。エアコンや車両設定もかなりディスプレイ上からサクサク操作できる。

 エクステリア的には伝統の7本スロットグリルが樹脂化して、鉄板部分が減ったのは残念だが、グリル高が減って小顔化したのはカッコイイ。

道具感を持ちつつ限りなくモダンな性能も備わった

 安全面でもサイドカーテンエアバッグが追加され、フロントウィンドウが衝撃に強いゴリラガラスになり、林道で小枝にひっかかるアンテナもウィンドウ貼り付け型になった。インテリアでは一部上級グレードでラングラー初の12ウェイパワーシートが採用された。

 ただし根本の骨太な質感や走りは基本変わらない。ラングラーはいまどきトヨタ ランドクルーザーやメルセデスのGクラスしか使わないようなラダーフレームを骨格とし、サスペンションはランクルもやめた前後リジッド式。すべては悪路走破性を最優先した設計であり、本格さは世界随一だ。

 それでいて2018年に一新した骨格や足周りにより、ラダーフレームらしからぬシャープなハンドリングや快適な乗り心地も備えている。

 同時に、エンジンもハイブリッドこそ付かないが、エコな2ℓダウンサイジングターボエンジンと8段ATを装備。燃費を「ジープとしては」格段に上げた。今はなき軍用ジープの如き道具感を持ちつつ、限りなくモダンな性能も備えたわけだ。

 言わばリーバイス501の如き本格ジーンズ的なタフネス性をキープしながら、いまどきの乗りやすさを備えたいいとこどり。だからこそファッションにウルサい30代のヤング層にもウケるジープ最人気モデルとなったのだ。

このデジタル化と値下げで伝説よ再び?

 つまり、今回のマイチェンのキモは価格にある。そもそも現行ジープは6年前には500万円前後という、今じゃありえない価格で売られており、それがこの容赦ない円安や原材料高により800万円超えが当たり前になった。

 そこで今回はベーシックグレード「アンリミテッドスポーツ」を久しぶりに復活させて800万円切りの799万円とし、上級の「アンリミテッドサハラ」を31万円引きの839万円、最上級の「アンリミテッドルビコン」を16万円引きの889万円で販売することにしたのだ。

 ほんの2~3年前には、日本の輸入車ファンじゃ考えられない30代のヤングが買う超人気SUVとなっていたラングラー。果たしてこのデジタル化と値下げで伝説よ再び! となるか。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  2. 2

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  3. 3

    日経新聞コラム「私の履歴書」で、伊藤忠の“ドン”岡藤正広会長の肝心なネタがスルーされた思惑

  4. 4

    吉村府知事が語った大阪万博の「魅力」に失笑買い話題騒然!地方局TV情報番組で売り込み発言も具体性ゼロ

  5. 5

    開幕まで2カ月も大阪万博ご難続き…入場券販売不振で“政敵”に泣きつき、海外パビリオン完成もわずか数カ国

  1. 6

    「貸金庫事件」の三菱UFJ銀行・半沢淳一頭取の全銀協会長就任にOBらが懸念

  2. 7

    ドミノ・ピザ大量閉店で見えた業界の“地殻変動”…今やライバルは、ピザハットとピザーラだけにあらず

  3. 8

    備蓄米放出でも政府はコメ価格を下げる気なし…識者が見解「相場を維持したい」思惑とは

  4. 9

    ガソリン全国最高値の長野県「石油商業組合」に独禁法違反の疑いでメス! 公取委が重い腰上げた裏に自民の弱体化か

  5. 10

    大阪万博“引き抜き人事”に労組が抗議書提出の異常事態…府職員からは「通常業務さえままらない」の悲鳴

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…