中国で相次ぐ無差別殺傷事件の背景に国内経済の悪化が? 外務省の元アジア大洋州局長も指摘
中国・江蘇省無錫市の専門学校で同校に通っていた男(21)が16日、無差別に刃物で居合わせた人らを切りつけ、17人が負傷、8人が死亡する事件が起きた。中国では11日にも広東省珠海市で車に乗った男が暴走、35人が死亡する事件が起きたばかりだ。
「無錫市で切りつけ事件を起こした男は犯行後に現場で拘束されましたが、SNSに出回った男のものとみられる文章には、実習先の工場で1日16時間働いても給料が支払われなかったことについて触れ、『搾取を目の当たりにした。死をもって労働法を改善させる』などと、自身が置かれた境遇や社会への不満がつづられていました」(外信部記者)
この事件の5日前に起きた車の暴走事件で逮捕された男は離婚後の財産分与に不満を抱えており、両事件とも背景には経済的な困窮が関係しているとみられている。
「そのほか、今年6月には江蘇省蘇州で日本人母子が切りつけられ負傷し、9月には広東省深圳で日本人男児が刺殺される事件も起きています」(同前)
このような凶悪な無差別殺傷事件が相次ぐ背景について「あくまでも一般論としてですが」と前置きしつつ、外務省の元アジア大洋州局長の薮中三十二氏が次のように語る。