フジの「天皇主権」剥奪と「乗っ取り」加速 物言う大株主が日枝久取締役相談役に退任要求の衝撃
物言う株主の米ファンド、ダルトン・インベストメンツがフジ・メディア・ホールディングス(HD)に3日付で新たな書簡を送ったと発表した。ダルトンはフジ・メディアHD株をグループで7%超保有する大株主。一連のフジテレビ問題に関する書簡は3通目だが、今回の要求は強烈だ。
「なぜたった一人の独裁者がこの巨大な放送グループを40年近くも支配することが許されてきたのか」──1983年の取締役就任以来、経営陣にとどまる「フジの天皇」こと日枝久・取締役相談役(87)を厳しく追及。「It beggars belief!」(シンジラレナイ!)と驚愕すると共に日枝氏の辞任を突きつけた。
日枝氏は「人事に関しては会社が決めること」と共同通信の取材に答えたが、役員人事を含めた全てが彼の一存で決まるとはフジ関係者の語り草。例えば会長を辞めた嘉納修治氏の人事だ。17年の会長就任後、19年に関西テレビ会長に転じ、昨年再びフジに戻った。自ら系列局に異動する会長など普通は考えられない。
さらにダルトン側は、社外取締役のみの経営刷新委員会に、日枝氏が指名してきた取締役の交代を要求。応じなければ社外取締役の責任を追及する構えだ。刷新後の取締役会の構成にも注文をつけ、過半数は社外取締役にすべきだと主張。元フジ従業員からの取締役選任は断固拒否である。