著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

東條英機が示達した「戦陣訓」を真っ向から否定した石原莞爾

公開日: 更新日:
軍閥馬占山将軍の黒龍江省軍を攻撃するため、洮南の鉄道線路に布陣する日本軍兵士=1931年12月、日本電報通信社撮影(ACME)

 東條英機陸相が、陸軍部内に「戦陣訓」を示達したのは、昭和16(1941)年1月のことであった。この戦陣訓は日中戦争で、日本兵が意外なほど簡単に捕虜になったり、あるいは不法行為をはたらくことに戦時指導者が困惑してのことといわれた。日中戦争を戦う理由が不鮮明なことも挙げられるだろう…

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