検証「ニッポンの死刑」(中)“異端児”日本に向けられる視線…OECD加盟国で執行を続ける唯一の国
天皇・皇后の英国訪問もあり、日英関係は極めて良好と思っている人は多いだろう。それは、決して間違いではない。しかし、日本が死刑を続けていることが、日英の間に影を落としているのも事実なのだ。
■加藤智大死刑囚の死刑執行を非難
2022年7月に、東京・秋葉原で無差別殺傷事件を起こした加藤智大死刑囚の死刑が執行された際には、駐日EU代表部や欧州の各国大使らが非難の声明を発表した。この前日、日本とEUなどの外相らは、ミャンマーで民主活動家ら4人の死刑が執行されたことについて非難する共同声明を出したばかりだった。日本は他国の死刑についてEUと共に反対しながらも、自国の死刑ではEUから批判されるという、なんとも皮肉な事態に陥ってしまった。
米国では2020年の大統領選で、バイデン氏が死刑廃止を公約に掲げた。州によって死刑の存廃は分かれるが、2021年7月から連邦レベルでの死刑執行を停止した。韓国も1998年以降、死刑は執行していない。
経済協力開発機構(OECD)に加盟する38カ国のうち、死刑制度があるのは日米韓の3カ国だが、国として執行を続けているのは日本だけになっている。その現実から目を背けていれば、国際社会との溝は深まるばかりだろう。 (つづく)
(佐藤大介/共同通信編集委員兼論説委員)