検証「ニッポンの死刑」(中)“異端児”日本に向けられる視線…OECD加盟国で執行を続ける唯一の国
日本が死刑制度を維持し、死刑執行を続けていることについて、特に厳しい視線を投げかけているのが欧州の国々だ。日本ではあまり知られていないが、欧州連合(EU)は憲法に当たる基本権憲章で「何人も死刑に処されてはならない」と規定し、死刑廃止が加盟条件となっている。EUを離脱した英国も死刑を廃止しており、欧州で死刑を続けているのは、ルカシェンコ大統領が独裁的な政権統治を続けるベラルーシだけになっている。
駐日英国大使を務めるジュリア・ロングボトム氏に、死刑制度についての考えを聞いたことがある。外交官として過去に2回の日本勤務を経験し、日本語も堪能で、英国外務省きっての「日本通」として知られるロングボトム氏は、私にはっきりとこう述べた。
「英国と日本は非常に親しい友人であり、多くの価値観を共有しています。しかし、考え方の異なる重要な問題があります。それが死刑制度です」
日本に死刑があることに英国人の多くは衝撃を受けるとし、死刑を廃止すれば「英国と日本の関係はさらによくなる」と言い切った。