6年ぶり2勝目目前…原江里菜を襲った残り3H“負の連鎖”
女子プロゴルフツアー伊藤園レディス(千葉・グレートアイランドC=6639ヤード・パー72)は、「ゴルフだけでは食べていけない」と、地元・徳島の段ボール工場でアルバイト経験があるプロ7年目の前田陽子(29)が、大城さつき(25)とのプレーオフを制してツアー初優勝を手に入れた。
試合はこれまでの実績から、原江里菜(27)の6年ぶり2勝目かと思われた。今季未勝利ながら29試合で予選落ちがなく、トップ10入り10回と安定していたからだ。
この日は5番で2つ目のバーディーを決め、10アンダーで単独トップ。8番で前田に並ばれたが、手堅くパーセーブを続けていた。
流れが変わったのは15番パー5からだ。原の3打目はピン右1メートル弱につける絶好のポジション。ところがバーディーパットはカップにけられてパー。すると続く16番から3連続ボギーとしてV圏内から消えた。田原紘プロがこう解説する。
「あの3打目がピンそばに寄らず、それでパーだったら原にもまだチャンスが残っていたと思う。しかし1メートル弱につけて勝てると思ったと同時に、“入れたい”から“外しちゃいけない”という打ち方になっていた。自分を追いつめて、心に余裕がなくなり、ストロークのリズムが速くなっていた。外してはいけないという気持ちが強いから、真っすぐに打てばいいのにラインをつくるなど読みすぎていた。それでもパーなのに、本人にはダブルボギーを打ったぐらいのショックだったのだろう。負の連鎖が始まり、次のティーショットもミスしてはいけないとスプーンを手にしながら思い切りがなくなり右ラフ。そこから乗らず寄らずのボギー。こうなると、いくら笑顔をつくってもボギーの流れは止まらなくなります」