サッカー捨て大転身 元J2練習生は駐車場ビジネス風雲児
「厳密に言えば、私は正式なプロ選手にはなれず、失うものも何もなかった。それが逆に良かったのかもしれませんね」
東京・青山のオフィスビルで謙遜気味にこう語ったのは元サッカー選手の金谷元気さん(31)。数々のベンチャービジネスを成功させ、現在は空き駐車場のシェアリングサービスを展開する会社の代表取締役を務めている。業界では「成功者」のひとりだが、そこまでに至る道のりはあまり知られていない。
■2度の“戦力外”が転機
大阪・松原高時代からFWとして活躍。高3時の2002年には国体選抜候補にも選ばれ、本田圭佑(ACミラン)の兄・弘幸氏らとJ2サガン鳥栖の練習生に招かれた。Jリーガーになる金谷さんの夢は実現するかと思われたが、現実は厳しく、プロ契約には至らなかった。
高校卒業後の4年間は関西地域リーグでプレー。07年、再びJリーガーを目指してJ2ザスパ草津の練習生になったものの、こちらもわずか2か月で“戦力外”に。
進学した同級生の選手たちが大卒になった時点でプロになれなければ、ビジネス界でトップになろうと決めていた金谷さん。辛酸をなめ続けたサッカー界への未練を断ち切り、起業家としての第一歩を踏み始めた。