シュツットガルト浅野拓磨 「スピードは独でも通用する」
「試合で結果を残さないと」
MF本田圭佑が出場機会を失ったままACミランに残留。セビリアで出番を失ったMF清武弘嗣も古巣のセレッソ大阪復帰を選択――。日本代表攻撃陣の主力を取り巻く状況は厳しさを増している。今こそ若い世代の台頭が必要不可欠。16年にドイツで13試合2得点という数字を残した浅野拓磨にかかる期待は非常に大きい。22歳のスピードスターの胸の内をドイツで聞いた。
浅野が日本代表デビューを飾ったのは、15年に中国・武漢で行われた東アジアカップだった。
「初めて彼を見た時、日本国内で唯一、DFの背後に一目散に動き出せる選手だと感じた。とにかく裏へ抜ける動き出しが鋭く、パワーもスピードもある」と絶賛した日本代表ハリルホジッチ監督は、同大会3戦すべてに浅野を起用した。
16年6月のブルガリア戦(豊田)で代表初ゴールを挙げ、ロシアW杯アジア最終予選の重要局面だった同年9月のタイ戦(バンコク)で先発に抜擢。大一番で勝利を決定づける2点目をゲットした。
「早く拓磨みたいな若手が出てきて欲しいと思っていた。それがあるから自分も頑張れる」と代表通算49得点のFW岡崎慎司(レスター)に言わしめるほどの大きなインパクトを与えたのである。
■「監督にとって使いやすい選手に」
「もう(代表に)入るだけでは満足できない。今までは『選ばれたらどうしよう……』という感覚でしたが、今は『試合に出て結果を残さないといけない』という自覚を持っています。そのためにも、自分の持ち味をハッキリさせたいと思っています。代表では右サイド(で起用されること)が多いですが、前線ならどこでもできる、という部分はアピールしていきたいです。シュツットガルトでも左(サイド)も前(トップ)もやっていますし、これを代表でもできれば、監督にとって使いやすい選手になれるのかな、と。融通の利くような選手は大事だし、どこでプレーしても。自分の特長を出せるようになれれば、(代表のスタメンに)一歩近づけるのかな、と思っています」
もちろん点取り屋としてゴールが重要というのは、改めて言うまでもないだろう。同じリオ五輪世代のヘントFW久保裕也(23)が、16年11月の大一番・サウジアラビア戦(埼玉)でいきなり先発に抜擢されたのも、当時ヤングボーイズでゴールを量産していたからだ。「ドイツ2部で2得点」は、ハリルホジッチ監督にとっても物足りない数字に違いない。
「次のW杯最終予選は3月(23日のUAE戦)ですけど、それまでクラブでアピールできる時間が長いのはプラス要素と思っています。自分は(日本代表に)定着できたとは思っていません。今はまだギリギリで選ばれてる状態。まずはクラブで結果を残さないと生き残っていけない。今のままでは次はないと思うので、もっともっと得点にこだわっていきたいです」
果たして17年の日本代表に急激な若返りは起こるのだろうか? 危機感を持ちつつ、じっと前を見据える快速FWの1カ月後が待ち遠しい――。