「相撲は大関 師匠は序ノ口」 独立費用は1000万円以上
「部屋を創設する費用は自分の貯金を取り崩した」
欧州出身初の親方として、今年4月に独立した元大関琴欧洲こと鳴戸親方(34)。引退後は佐渡ケ嶽部屋の部屋付親方だったが、いまや一国一城の主となった。鳴戸親方自身は「僕やおかみはまだまだ新米、序ノ口です」と笑う。部屋の運営、弟子の指導など、どんな苦労があるのか。
東京スカイツリーに隣接する押上駅から徒歩7、8分、墨田区横川に鳴戸部屋はある。約50坪の面積で、1階に土俵があり、2階は弟子や親方の部屋となっている。弟子は4人。関取はまだおらず、序二段の欧翔山が最高位だ。
「ここは賃貸なんです。もともとはお菓子工場だったみたいで、その後は貸倉庫になっていた。そこから住みやすいようにするのは大変でしたよ。去年12月に契約して、図面を引いて……。工事期間は2、3カ月くらい。初めは何もなかった。玄関もなく、シャッターだけでした(笑い)。ほら、その壁を見てくださいよ」
鳴戸親方の言葉に視線を向けると、いかにも倉庫然とした鉄の壁が剥き出しになっている。
「部屋をつくるのに何が必要かもわからなかった。とりあえず、土俵、ちゃんこを作る炊事場、お風呂、トイレは絶対に必要。そこにエアコンや冷蔵庫を設置した。それくらい、最初は何もなかったんですよ。本当にここでいいのかな? というくらい(笑い)。座敷も後からつくったんです。最初はイスとテーブルでちゃんこを食べようと思ったんですけど……」