負け戦承知で理事選出馬 貴乃花親方“滅びの美学”のウラ
たとえ孤立無援でも自分の意志を貫く親方――そんなイメージを世間に植え付けたいのではないか。
1日、日本相撲協会の理事候補選挙に立候補を届け出た貴乃花親方(45)。同日、部屋のホームページを更新し、「熟慮した上での決断です」と立候補に至った理由と決意を明かしたが、30日に行われた貴乃花一門会。その席上では「一門の票はすべて、阿武松親方(元関脇益荒雄)に譲る」と言ったという。
一門内の親方を立て、自身は負け戦を承知で選挙に臨む……まるで「滅びの美学」に殉じる潔さのような印象すら受けた向きもいるだろう。
だがしかし、実情はまるで異なる。「譲り渡す」までもなく、一門内の票はほとんど阿武松親方に流れているという。
ある親方が言う。
「大嶽親方(元十両大竜)、立浪親方(元小結旭豊)の2人は貴乃花親方を見限り、阿武松親方を支持しているともっぱらです。中でも立浪親方は2010年に貴乃花親方が初めて理事選に出馬した、いわゆる『貴の乱』からの同志。今回はさすがに勝ち目がないと思ったのか、貴乃花親方に『選挙には出ない方がいいのではないか』と忠告したが、まるで聞き入れられなかったといいます。同一門の千賀ノ浦部屋には親方が2人いるが、そのうち1票は他の一門に流れる見通しです」