兄は金メダルも妹は準V…阿部兄妹の絆は伊調姉妹より固い
柔道のグランドスラム大阪大会が22日に開幕。男子66キロ級は阿部一二三(22)が宿敵の丸山を下して優勝を飾った。しかし、妹の詩(19)は女子52キロ級決勝で世界ランク1位のブシャール(フランス)に敗れ銀メダル。畳の上からしばらく動けず、あふれ出る涙をぬぐった。
詩は優勝なら東京五輪代表の内定が確実視されていたが、結論は先送りに。一方、兄の一二三は本命の丸山を破ったことで、一躍代表候補に躍り出た。
この阿部きょうだいの絆は、女子レスリングの伊調千春(アテネ、北京銀)、馨(4連覇)姉妹にも引けを取らない。
2人が五輪出場を意識し始めてからは、離れて暮らしていても互いの試合を気にかけ、アドバイスし合った。詩が初めて出場した2018年の世界選手権では兄から減量法に加え、組み手の返し方など技術面で具体的な助言をもらったことも。逆に詩から一二三にアドバイスすることもあり、時には妹が檄を飛ばすこともあるという。
同じ競技で兄弟、姉妹揃って五輪を目指すトップアスリートの場合、何かと比較されるなどして、対抗意識が芽生えて肉親でもいがみ合うケースは少なくないとされる。
互いに切磋琢磨を続ける一二三と詩は、きょうだいアスリートの手本と言ってよさそうだ。