渡邉彩香5年ぶりツアーVに涙…地獄から生還の軌跡と課題
【アース・モンダミンカップ】最終日
1702日ぶりの復活劇だった。
コロナ感染拡大防止のため大会中止が相次いだ女子ツアーは、当初のスケジュールから3カ月半遅れで開幕。その今季初戦で、渡邉彩香(26)が実に5年ぶりとなるツアー4勝目を挙げた。ともに通算7アンダー・4位タイ発進の鈴木愛(26)と同じ68で回り、通算11アンダー首位タイに並んでホールアウト。プレーオフの1ホール目にバーディーを奪い、早々に決着をつけた。
「渡邉のようにドライバーは飛ぶけど、方向性に難のある選手にとって、不安を払拭するにはもってこいの会場です。ホールは林でセパレートされているものの、ネット中継で見るよりも実際のホール幅はかなり広い。選手はスイングに悩まずに済むレイアウトです。コロナ禍で半年近く試合がなく、プレッシャーのない練習ラウンドがたっぷりできたのも渡邉にはよかったでしょう」(小野寺誠プロ)
ホールアウト後に「ここ2、3年は苦しかったので……」と涙をにじませ言葉に詰まった渡邉の最後の優勝は2015年11月の樋口久子Pontaレディス。ここまで何があったのか?
■「飛ぶけど曲がる」が飛距離まで
2012年にプロテストに合格すると、卓越したドライバー飛距離を武器に翌13年から5年連続で賞金シードをキープ。14年に初優勝を果たし、翌15年は2勝と勢いがあった。
しかし、18年に賞金シードを逃し、昨年は30試合に出場して予選落ち23回、賞金ランク115位と低迷。得意のドライバー飛距離と正確性は、女子プロ協会がデータを取りだした17年が251・10ヤード(ランク6位)、FWキープ率93位。18年は252・11ヤード(同4位)、FWキープ率95位。「飛ぶけど曲がる」が欠点だった。
ところが昨年は、238・19ヤード(同42位)、FWキープ率97位と、武器の飛距離まで失い、ドン底に落ちた。