ヤ軍はFA田中にQO提示せず…揺れる残留願望とGMの辛口評価
治安はバツグン
それでも本人の希望はヤンキース「残留」だという。さる特派員の話。
「田中はヤンキースというチームをいたく気に入っています。多少、年俸が下がろうと、ピンストライプのユニホームを着て投げ続けたい。是々非々、ハッキリと指摘するファンやメディアの存在も、自分にはプラスだと考えている。家族と暮らすニューヨークの住環境も気に入っています。本人は今年3月、キャンプ地のフロリダ州タンパで身の危険を感じさせる出来事があったとコメントしていますが、自宅のあるニューヨークは他の都市と比べても治安がバツグンにいいですから」
問題はヤンキースのスタンス、田中をどう評価するかだ。
ヤンキースは選手の契約にシビア。2009年オフにはその年、ワールドシリーズMVPを獲得したFA松井秀喜にオファーをしなかった。チームを9年ぶりの世界一に導いた功労者であっても再契約を見送ったのだ。
さるマスコミ関係者がこう言った。
「松井自身の希望はヤンキース残留でした。エンゼルスのオファーに対する返事のリミットを引き延ばしてまで、ヤンキースに再契約の意思がないか探ったが、キャッシュマンGMからは色よい返事はもらえなかった。オーナーとまだ話をしていない、もう少し時間が欲しいとはぐらかされた揚げ句、最後までクビを縦に振らなかったといいます。松井が当時35歳だったことも理由のひとつだったようです。田中は代理人がヤンキースと太いパイプを持っていることはプラス材料ですが、キャッシュマンGMの選手に対する評価がシビアなことは間違いありません」
■メッツの資金力
ヤンキースにとって田中が「微妙」な選手である裏にはこんな事情もあるという。前出の特派員がこう言った。
「来季に向けて計算の立つ先発の駒が少ないのです。エースのコール、昨年18勝しながらDVで出場停止処分を食らったヘルマンの2人はともかく、彼らに続く先発が不確定なのです。一昨年19勝したセベリーノは今年の春先にトミー・ジョン手術をして、復帰できるとすれば来季の後半から。今季2勝止まりのハップは来季オプションを行使せずFA。同じく左腕のパクストンもFAになることが確実です。安く買いたたけるのであれば、ある程度、計算のできる田中は残したいところですが、かといってあまりに安ければ、同じくニューヨークに本拠地を置くメッツに奪われる可能性もある。大富豪のスティーブ・コーエンがオーナーに就任するメッツは、いまからオフの大補強がウワサされていますから」
いずれにせよ「ニューヨーク残留」が濃厚というのだが。