森保監督解任の“Xデー”迫る! サウジに敗れ致命的2敗目…「この指揮官でW杯はムリ」の声
痛恨のミスとなった。
0―0で迎えた後半26分。MF柴崎のバックパスがスルーパスのように相手FWに渡った。そのまま持ち込まれ、GK権田が股の間を抜かれる。自滅で先制点を許した日本は、そのまま試合終了のホイッスルを聞いた。
■見誤った柴崎の交代機
1勝1敗の勝ち点3、B組4位の日本は日本時間8日未明、同2位のサウジアラビアと敵地で激突。前半は柴崎の無回転ミドルやMF鎌田の芸術的スルーパスに抜け出したFW大迫のシュートなど何度か決定的なチャンスをつくりながら、得点を奪えなかった。
元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏がこう言う。
「柴崎は後半に入り、あっさりボールを奪われたり、自陣で相手の股を抜こうとして失敗したり、軽いプレーで何度もミスを犯していた。ボールを失った後も追いかけない。気温30度の暑さや疲れでアップアップ状態になり、致命的なパスミスが生まれた。そもそも、守備力が不安視され、暑い中でハードワークができない柴崎をなぜ起用したのか。そして、なぜ早く代えなかったのか。アウェーで厳しい戦いが予想される大一番で、最低でも引き分けないといけないという状況判断ができなかった森保一監督(53)の責任は重いと思います」
その森保監督の、試合直後のインタビュー映像にビックリ仰天したサッカー関係者も多かったはずである。
常に沈着冷静、試合に勝っても負けても良く言えば「ソツのない」、悪く言えば「面白みのない」コメントに終始する指揮官が、血走った目を何度もこすりながら甲高い声で応対していた。その姿がサウジ戦敗退のショックの大きさを雄弁に物語っていた。
「采配に疑問符が多すぎる」
しかし、W杯最終予選を3試合消化した時点で1勝2敗・勝ち点3という惨状を招いたのは、誰あろう「森保監督その人」ではないか。
「選手起用、試合中の交代など采配、攻守のチーム戦術など森保監督には疑問符が多すぎます」と元ワールドサッカーグラフィック編集長の中山淳氏がこう続ける。
「後半14分に左サイドMFを南野から古橋に、右サイドMFを浅野から原口に代えました。いつもより早い仕掛けではありましたが、入れ替えはいつもと一緒。同28分にトップ下を鎌田からオナイウに、失点につながるミスを犯した柴崎を守田に代え、後半46分に左SBを長友から中山に代えた。すべて同ポジションでの交代です。黒星スタートとなった最終予選初戦のオマーン戦もそうでしたが、森保監督は基本戦術の4(DF)―2(ボランチ)―3(MF)―1(トップ)を試合の流れに応じて3―4―2―1や4―3―3に変える戦術的なオプションがなく、試合中の選手交代も<同ポジションの選手を単純に入れ替えるだけ>です。なので試合中に軌道修正することができない。サウジ戦でいえば、たとえば古橋を1トップに移して右MFに入った原口を左サイドに配し、トップ下に入ったオナイウを右MFに起用するなど<変化>をつけた上でゴールを狙うべきだった。指揮官には、流れを引き寄せる<引き出し>がない。これが最終予選の大苦戦を招いている最大の要因だと思います」
日本の入った最終予選B組は、日本が12日に埼玉スタジアムで対戦するオーストラリアとサウジアラビアが3連勝。「W杯本大会出場圏内」の1位と2位をキープした。
日本はB組3位を死守し、A組3位と対戦、大陸間プレーオフにW杯出場の望みをかけるしかないくらいの状況に追い込まれてしまった。
■主将の吉田が異例の責任問題に言及
試合直後、主将のDF吉田麻也が異例のコメントを発した。
「(W杯出場を逃したら)サッカー協会も監督も選手も責任を取る覚悟はあります」
不甲斐ない成績しか残せなかったら、選手は「招集されなくなる」ことで責を負う。いち選手が協会と監督の責任問題について言及する――。前代未聞ではあるが、まったくもって正論である。
「4日後のオーストラリア戦までに代表監督交代は現実的にはないでしょうが、仮に森保ジャパンがオーストラリア相手に3―0など内容の伴った勝利を挙げたとしても、このまま森保監督体制でW杯に出られるのか、W杯本大会で勝てるのか、という議論を続けなければいけない。もちろんオーストラリア戦完敗となれば、一気に解任が現実味を増します」(前出の中山氏)
今年の最終予選の日程はともに敵地での11月11日のベトナム戦、同16日のオマーン戦となっている。巻き直しを図るには「一日も早い監督交代」というカンフル剤を打つしかない――。