選手権V6度の名伯楽・小嶺忠敏氏死去…「国見サッカー」への誤解と個性重視の指導

公開日: 更新日:

■門外漢の記者にも情熱的に語る

 大間違いだった。国見高は、始業時間前の午前6時から1時間半、体育館でフットサル形式の練習を行っていた。小嶺監督もコーチも口出しは一切なし。ドリブル突破の回数やパスがつながった回数で勝ち負けを決めていた。これがファンタジスタのMF永井秀樹、独創的なキックが持ち味のMF三浦淳宏、ゴールハンターのFW大久保嘉人ら後に日本代表の主軸をなす個性派を輩出した。

 アジアの大砲・高木琢也を巡るエピソードも興味深い。国見高に入学した高木は当時、シュートがゴールの枠外ばかりに飛んでいく。しかし「10本に1本は釜本邦茂さんのような強烈なシュートを決める。毎日の居残り練習で<得意の形>を身に付けさせた」とは生前の小嶺氏。フィジカル一辺倒ではなく、選手の個性を伸ばす指導を重視していたのである。

 87年度に選手権を初制覇した国見高が宿舎にしていた都内の旅館を日刊ゲンダイ本紙運動部記者が訪れた。

「旅館を入ってすぐのソファセットに座り、門外漢の記者に対してサッカーを情熱的に語っていただいた」(本紙運動部記者)

 享年76。合掌──。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…