著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

森保Jの常連だったドイツ2部ハノーファーDF室屋成の復活を強く願う

公開日: 更新日:

終了間際の失点に絡んでしまった

 HSVサポーターの目前で同僚から熱い抱擁を受けるのは最高の気分だったに違いない。

 首位・HSVも劣勢を跳ね返そうとギアを上げ、猛然と押し込んできた。ハノーファーは守勢に回る厳しい展開を強いられ、前半15分にオウンゴールを献上。それでも何とか踏んばり、後半まで強固な守りを維持する。

 室屋も右サイドを献身的にアップダウンし、攻守両面で奮闘。ドイツでの成長の跡を如実に示していた。そのまま1-1のドローなら御の字だったが、ハノーファーは終了間際のCKから逆襲を食らってしまう。

 最後尾に陣取っていた室屋は突っ込んでくる相手FWクニスデルファーを止めに行ったがかわされ、まさかの逆転弾を浴びる。

 終わってみれば1-2の痛い敗戦。このミス以外はほぼ完璧なプレーを見せていただけに、本人も「最後、難しかったけどファウルで止められたと思う」と悔しさを吐露していた。

■視察の日本代表・斉藤コーチに失点場面を目撃された

 間の悪いことに日本代表の斉藤俊秀コーチも、試合途中から視察に訪れていた。「渋滞にはまって遅刻した」という彼は室屋の先制弾を見られず、ラストの失点場面を目撃することになった。その事実がW杯本番の選考にどう影響するのか……気になるところだ。

 室屋自身は、代表に関して「監督が選ぶことなんで僕に何かできることじゃない。自分はしっかりと、ここで結果を残すだけ」と慎重な姿勢を貫いていたが、森保日本発足当初から名を連ねていた常連組なのだから、カタール行きへの思いは熱いものがあるはず。

 一縷の望みを今後の1カ月間のプレーに託すことになる。

 複雑な感情を抱きながらも、ハノーファーの日々に集中しようとしている室屋。「タフなリーグですごくやりがいがあるし、生活も充実しているので、楽しくやってます」と前向きに語っていた。

 こうやって地道に所属クラブで努力を続ける欧州組は少なくない。

 彼に再びスポットライトが当たる日が巡ってくることを強く願いたいものだ。

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