「ストーカー病」福井裕輝著
■ストーカーは精神患者と説く本
時に最悪の結果を招くストーカー事件。加害者と向き合ってきた精神科医の著者は、彼らに共通する被害者感情や激しい思い込み、飛躍した衝動性などの特異な症状から、ひとつの精神疾患ととらえるのが適切だと考えるようになったという。本書は、それをストーカー病と名付け、ひとつの病理として分析した解説書。
ストーカー病の人とストーカー的な人との境界線、反社会性や自己愛性などのパーソナリティー障害や、発達障害が因子と思われるストーカー病のそれぞれのタイプなど、実際のストーカー事件を例に解説。その上で、ストーカーを病人として、適切な治療を行うことこそが、新たな被害者を生まないための有効な手段だと説く。
(光文社 1300円)