「ガタロ」ガタロ/絵、中間英敏/文
ガタロ氏が自費出版した画集を偶然、手にした中間氏は、個人的に親交を深めた後にテレビドキュメンタリーを制作。長い時間をかけて心を通わせてきた中間氏がガタロ氏の人生と作品についてつづった文章を読むと、彼がどんなときにも絵を描かずにいられなかったように、清掃という仕事にも真摯に向き合って全力を注ぎ打ち込んでいることが分かる。描くことも仕事も、氏にとっては生きることと同義なのだろう。
ガタロとはカッパの意であるとともに、ホームレスや汚い身なりでふらふらしている人を呼ぶ蔑称や自嘲の言葉だという。世間のしがらみに縛られず自由を求めその名を名乗る氏の生き方と作品に、ただただ圧倒される。
(NHK出版 2300円)