戦国時代の有名な8つの戦いを再検証する歴史読み物。
小説やドラマで幾度となく描かれた川中島の戦いでは、謙信は「車懸かり」の戦法で攻撃し、信玄は「鶴翼の陣」で防ぎ、ついには両武将が一騎打ちしたとされる。しかし、これらはすべて江戸初期の軍学書「甲陽軍鑑」の記述がもとになっており、事実だと証明することはできない。著者は、周辺の地勢や当日の天候、さらに歴史の流れなどを勘案しながら合戦を一から見直し、朝霧で周囲もよく見えず、足場の悪い中で車懸かりや鶴翼の陣形が取れるわけもないと看破。その他、秀吉の中国大返しや大坂夏の陣での真田幸村の本陣突入など、歴史の真相を理詰めで推理。
(草思社 1700円+税)