「俺の日本史」小谷野敦著
歴史は偶然と必然のからみ合いであり、「なぜ」と問うのは無意味だと著者は説く。法則を見いだそうとするのではなく、ただ事実を追求すべしという氏が、自らの歴史観に立って、古代から幕末までを論じた日本史テキスト。
卑弥呼の国・邪馬台国について書かれた「魏志倭人伝」などとても信用できず、シナの史書に出てくる倭の五王と天皇の対比などは、材料が少なすぎて本当のところは分からないと指摘。その他、聖徳太子の人物像、神風が吹いて敵を追い払ったといわれる2度目の蒙古襲来の真相、明智光秀が織田信長を討った理由、坂本龍馬が政治史上果たした役割など。これまでの日本史に対する知識が覆される学び直しの書。 (新潮社 760円+税)