話題作「アクト・オブ・キリング」のバート2「ルック・オブ・サイレンス」

公開日: 更新日:

 1965年のインドネシア大虐殺を追って話題になったドキュメンタリー「アクト・オブ・キリング」。その“パート2”が現在公開中で、再び評判を呼んでいる。ジョシュア・オッペンハイマー監督の「ルック・オブ・サイレンス」。

 前作はスカルノ政権下のクーデターに始まった共産主義者狩りで虐殺を実行した面々に迫り、喜々として惨殺の模様を語る姿を捉えて驚かせた。

 今回は逆に虐殺された側の遺族に寄り添い、加害者に向かって「ぼくの兄はあなたに殺されました」と語りかけるさまを見せるのだ。

 最初は監督も普通のドキュメンタリーのように加害者と被害者を一作の中で見比べる構成を考えていたらしい。

 だが取材の過程で相手の語りがみずからふくらんで、加被双方をそれぞれ扱う2部作になったのだという。

 普通こういう状態は、社会学でいうラポール(信頼関係)が取材する側とされる側の間に生まれた場合だが、映画を見るとむしろ取材される加害者と被害者それぞれの「当事者」意識の食い違いが2部作の対照をきわだたせたのではないかと思う。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ダウンタウン浜田雅功の休養でよぎる2023年の「意識障害」報道…「前日のことを全く記憶していない」

  2. 2

    フジテレビ30代アナ永島優美、椿原慶子が辞めて佐々木恭子、西山喜久恵50代アナが居座る深刻

  3. 3

    ダウンタウン浜田雅功が休養でテレビ業界大激震…キー局編成関係者「いずれ番組の打ち切り話が出てくる」

  4. 4

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  5. 5

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  1. 6

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  2. 7

    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

  3. 8

    【動画あり】イケイケ国民民主党に“パワハラ問題”噴出!女性衆院議員からの罵倒叱責で体調不良に…4人も離党の異常事態

  4. 9

    “現代の遊女”吉原のソープ嬢はNHK大河ドラマ『べらぼう』をどう見ている? 地元は特需に沸く

  5. 10

    日テレ「さよなら帝国劇場」でわかったテレビ軽視…劇場の階段から放送、伴奏は電子ピアノのみ