「70歳!人と社会の老いの作法」五木寛之+釈徹宗著
「低成長・高成熟」の時代を生きる現代人の進むべき道を示す対談集。
超高齢化が加速度的に進み、「長生きはいいことだ」と無邪気に信じられていた時代は去り、「不安と不信の中で、どのようにすれば人生を完結させることができるかが、大きな問題として立ち上がってきた」と五木氏は指摘。死に関する自己決定のために死生観を持つことが求められ、終末活動がブームになるほど現代人は死と向き合おうとしているが、解決には至らない。「なぜなら、それらはいずれも消費される情報にすぎないからだ」と、釈氏は情報ではなく物語こそが自分の死を考えるときに力になると説く。日本人の死生観や信仰心を読み解きながら「多死社会」とどう付き合うかを論じる。(文藝春秋 780円+税)