「黒涙」月村了衛著

公開日: 更新日:

 現役大臣の病気という国家機密が中国政府に漏洩していたという失態を受け、警視庁公安部は対中国防諜作戦を目的とする特別チームを編成。警視庁組織対策部第2課の沢渡警部補も、中国語が堪能なことを買われチームに参加する。しかし彼は、中国黒社会の義水盟の幹部・沈と兄弟の契りを交わし内部情報を流す「黒色分子」だった。

 今回、公安が対象にする天老会は義水盟と敵対関係にあることから、沈もインドネシアの青年実業家ラウタンを沢渡の元へ送り込んで、公安の作戦を裏から支援する。ラウタンの活躍で作戦は順調に進んでいくかに見えたが、彼の前に謎の美女、シンシア・ユンが現れる。ラウタンは罠と知りつつもユンに近づいていくが、彼女には底知れぬ闇が潜んでおり、その深い闇へ引きずり込まれていく……。

 日本の警察小説には珍しく、中国、東南アジアの裏社会を背景に、熾烈な諜報活動を描くグローバルな視点の作品。沢渡が黒色分子になる経緯を描いた「黒警」の続編。(朝日新聞出版 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が