「素浪人半四郎百鬼夜行(拾遺)追憶の翰」芝村凉也著
浅間山が大噴火を起こす前年、浪人の半四郎は聊異斎老人に誘われ、老人の連れ捨吉と3人で関八州を旅する。
日本橋で3人が乗り込んだ押送船は下総国の寒川村に向かうが、聊異斎によると、ある人からの依頼で当地を訪ねることになったという。出迎えたのは隠居して睡翁と名乗る元網元だった。睡翁によると村近くの集落の漁師たちが船幽霊の被害に遭っているという。それも同じ浜の善次郎という網元の下で働く網子だけが被害にあっているそうだ。善次郎とその網子たちは、極め付きの鼻つまみ者だが、睡翁は放っておけないという。翌日、半四郎らは睡翁の手引きでその浜のもう一人の網元、天平を訪ね、子細を聞く。
書き下ろし大河伝奇時代小説シリーズ完結編。(講談社 640円+税)