「あるかしら書店」ヨシタケシンスケ著
町はずれにある「あるかしら書店」は「本にまつわる本」の専門店。いろんなお客さんがやってきて、いろんな注文をする。
「なんか『ちょっとめずらしい本』って、あるかしら?」
「なんかこう『本にまつわる道具』ってあるかしら?」
「『本にまつわる仕事』の本って、あるかしら?」
すると店主は「ああ、ありますよ!」とうれしそうに答え、「このへんなんかどうかしら」と、奥から出してくる。月明かりでしか読めない「月光本」や、人に見られたら恥ずかしい本の表紙だけ変えてくれる「カバー変更器」や、読んできた本から犯人を見つける「読書履歴捜査官」など、フシギな本や道具が次々と飛び出す。
今、大ブレーク中の絵本作家の最新作。「本」をめぐって縦横無尽に広がったアイデアが、ほのぼのとしたタッチで描かれる。ユーモラスで、ときにファンタジックで、本への愛情に満ちている。落ち葉のように空から本が降ってくる村、半分水没した塔のような図書館、「大ヒットしてほしかった本」を荷車に積んで売り歩く移動本屋さん……。デジタル画面に疲れた大人をやわらかく包み、「本って、いいもんだなあ」とあらためて思わせてくれること請け合い。(ポプラ社 1200円+税)